こころの軌跡〜天使くんの母の気持ち〜
穏やかな日々
天使くんの保育所生活も2年目に突入しています。
担任や加配の先生もガラリと変わって、どうなることやらと思いましたが、
すぐに慣れたようで、ホッと一安心。
顔の表情も豊かになり、赤ちゃんっぽさはすっかり消え去りました。
だって、5歳だもん。
果たしてこれが良いのか悪いのか...?
全然知らない人に声を掛けられて、「ぼく幾つ?」って聞かれた時はさすがにちょっと戸惑います。
当然質問した相手は、天使くんが答えることを期待しているんですよね。
替わりに私が答えますけど、まだ今ぐらいの年齢だったら、‘恥ずかしがりや’で通るかなぁ?
なんて思ったりもして、相変わらず楽天的な母です。
あるイベントで、知的障害者授産施設を利用している方たちの歌と踊りの発表を見る機会がありました。
時々TVでは障害者達で結成されたバンドの演奏が紹介されていますけど、
実際に見たのは初めてでした。私の隣で天使くんは食い入るように見ていました。
そこで、なぜか涙腺が緩んでしまって直視できなかった私。
いったいあの涙にはどういう意味があったんだろう?
感動の涙?それとも悲しみの涙?
残念ながら、うまく説明できません。自分でもわからないから。。。
一瞬のうちにいろんな思いが頭を過ぎりました。
ステージの上で、所狭しと演技する彼らのその姿を見ながら、
15年後、二十歳になっている天使くんのことを考えていました。
こんなふうに歌ったり踊ったりできるようになっているのだろうか?
楽しく暮らすことが出来ているのだろうか?
今みたいに笑顔を絶やさずに、生き生きとしているだろうか?
良き理解者に巡り会えているだろうか?
今の私には、まだ想像できなかったのです。
ただひとつ、はっきりしていることは、その発表が終わった時に、
天使くんはとても嬉しそうに拍手をしていたと言うことだけ。
おばちゃん達のフォークダンスや、幼児クラブのお友達のお歌の発表の時は反応がなかったのに。。。
天使くんにも何かが伝わっていたんでしょうね、きっと。。。
今はとても静かな時間が流れています。
でも、この静寂がいつまで続くのかはわかりません。
たぶん、保育所に通っている間は、このまま穏やかな日々が過ぎて行くんでしょうね。
問題はそこから先にあります。
まだ幼いうちは、「可愛い」だけで通るかもしれないけど、年齢が上がるに連れて、
それだけでは済まされないと思います。
いまだに発語もない天使くんに、どんな将来が待ち受けているのでしょうか?
考え始めると、ただノーテンキな母ではいられません。
2001年5月記
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